【閖上の食文化】地元のたこやきの名店「りり〜あっぷ」佐藤さんに聞く、笹かま・しらすの本当に美味しい食べ方

宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)には、海とともに育まれてきたさまざまな食があります。

では、そこで生まれ育った人は、海の幸をどんなふうに食べてきたのでしょうか。


今回は、本サイトに掲載されている「笹かまぼこ吉祥」と「閖上生しらすセット」を実際に味わいながら、閖上で生まれ育った方に、食の記憶やなじみのある食べ方を聞いてみました。

地元の人の話を手がかりに、閖上の海の幸をいつもとは少し違った角度から楽しんでみます。

【閖上の食文化】地元のたこやきの名店「りり〜あっぷ」佐藤さんに聞く、笹かま・しらすの本当に美味しい食べ方

閖上で生まれ育った、りり〜あっぷの佐藤さん

今回お話を伺うのは、仙台市若林区連坊にある「ゆりあげたこやき りり~あっぷ」の店主・佐藤千佳さんです。

閖上で生まれ育った佐藤さん。店では看板メニューの「ゆりあげたこやき」をはじめ、季節の家庭料理などを提供しています。

また、「佐藤米穀店」も併設しており、提供するごはんにはすべて宮城県産のお米を使っています。

  • ゆりあげたこやき りり~あっぷ店主の佐藤千佳さん

佐藤さんの実家は、海まで歩いて5分ほど。

父親が漁師だったこともあり、子どもの頃から海の幸はとても身近な存在でした。

「キチジとかズワイガニとか、今考えたら高級なものが普通に家にあったんだよ」

なかでも好きだったのが、ズワイガニの内子*。

「内子が特に好きだったね。カニみそと一緒に食べるのがおいしかったんだよ」

*メスのカニの甲羅内にある未成熟の卵巣


そんな佐藤さんが、もうひとつ「閖上の人なら絶対に懐かしがる!」と話してくれたのが、「焼きガレイ」です。

当時の閖上には、カレイを焼いて売る店があり、佐藤さんによれば、焼きガレイは家庭でもよく食べられていたそう。

「焼きガレイは、どこの家でも食べてたんだよ。家で甘じょっぱく煮付けるのもおいしかったね」


海のすぐそばで、獲れた魚介が日々の食卓に並ぶ。

佐藤さんにとって、閖上の海の幸は特別なごちそうというより、子どもの頃から身近にあった味でした。


今回はそんな佐藤さんと一緒に、閖上ゆかりの商品を実際に味わっていきます。

思い出に残る、焼きたての笹かま

まず味わうのは、ささ圭の「笹かまぼこ吉祥」です。

ささ圭は名取市閖上で1966年に創業した笹かまぼこの製造会社。

「吉祥」は、きめ細かな歯触りと、噛むほどに感じられる魚の風味が特徴の笹かまぼこです。


佐藤さんに笹かまの思い出を尋ねると、子どもの頃に親の買い物でよく立ち寄っていた、なじみのかまぼこ屋さんのことを話してくれました。

店に行くと、「はいよー、焼きたて!」と、できたばかりの笹かまを食べさせてもらうことがあったそうです。

「焼きたては、本当にフワッフワだったんだよ。今思えば贅沢だよねー」

普段売られている笹かまのぷりっとした弾力とはまた違い、焼きたてならではのやわらかな食感が、今も記憶に残っているといいます。

今回は「笹かまぼこ吉祥」を佐藤さんと一緒に味わいながら、子どもの頃の記憶や、今もなじみのある食べ方について聞いてみました。

そんな思い出を聞きながら、今回は佐藤さんと一緒に「笹かまぼこ吉祥」を味わってみました。 

佐藤さんにおすすめの食べ方を尋ねると、返ってきたのは「絶対にそのまま!」という答え。  

「できたての焼きたては、やっぱり特別においしいんだよ。でも、普段お店で買う笹かまなら、そのまま食べるのが一番だね」  

あえてひと手間加えるなら、細く切ってほうれん草のおひたしに入れるのもおすすめなのだそうです。  


「吉祥」をそのまま食べてみると、まず感じたのはぷりぷりとした食感。

表面にしっかりとした弾力を感じる笹かまもありますが、「吉祥」は表面までしっとりとやわらかく、舌触りもなめらか。口にすると、やさしい甘みがふわっと広がります。

ほどよい弾力がありながら食べやすく、つい次の一枚へ手が伸びました。

今回は「吉祥」に加えて、ささ圭の4種7個入りのかまぼこの詰め合わせ「ささ圭の笹かまぼこ 口福詰合せ」も用意しました。
笹かま以外の味も楽しめる内容で、お酒のお供にもぴったりです。

笹かまぼこ吉祥
弊社の最もスタンダードな贈答用の笹かまぼこです。きめ細かい歯触りは、鮮度の高い洋上すり身を使用しており、上品で噛むほどに魚の風味…
笹かまぼこ吉祥
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震災後に始まった、閖上のしらす

続いて味わうのは、海祥の「閖上生しらすセット」です。


閖上では2017年から、しらすの本格的な漁が始まりました。

佐藤さんが子どもの頃からあったものではなく、震災後に新たに水揚げされるようになった「北限のしらす」です。

佐藤さんが閖上のしらすを食べるようになったのも、漁が始まった2017年頃から。
知り合いの漁師が、その日に水揚げしたしらすをすぐに持ってきてくれたそうです。

「それまで生のしらすを食べることなんてなかったから、珍しかったんだよ。みんな喜んで食べてたね。もちろん味もおいしいしね!」

届いたばかりのしらすは、生のまましょうが醤油などで。
夜には釜揚げにして、大根おろしとポン酢を添え、おかずの一品として食卓に並ぶことも多かったといいます。


今回は、閖上港で水揚げされたしらすを使った「生しらす・醤油漬け・白醤油漬け」の3種類を、佐藤さんと一緒に食べ比べてみました。

まず生しらすは、何もつけずにそのまま。

生ならではのほろ苦さがあり、少し大人向けのおいしさがあります。ちゅるんと喉を通る食感も印象的です。
ポン酢を合わせると、ぐっとさっぱりとして食べやすくなりました。

醤油漬けは、甘じょっぱい味付けで、ごはんが進む味。3種類の中でも、特に白いごはんと合わせたくなる一品でした。

白醤油漬けは、醤油漬けよりも少しあっさり。やさしい味付けで、上品な印象でした。

今回は3種類に加えて、一緒に購入した釜揚げしらすも用意。
炊きたての白いごはんに4種類をのせて食べ比べてみました。

どれも白いごはんとの相性は抜群。ほかの料理と合わせる楽しみ方もありますが、やはりシンプルにごはんと一緒に食べると、それぞれの違いがよく分かります。
新米の季節なら、なおさら試してみたくなる食べ方です。

釜揚げしらすは、別の日にうどんにも。 うどんの上に釜揚げしらすと卵黄をのせ、めんつゆをかけるだけ。 シンプルですが、しらすの塩気と卵黄のまろやかさがよく合う一杯になりました。

閖上生しらすセット
当社は小魚・海藻・乾物などを製造、販売する会社です。産地と消費者の食卓を結ぶ食のプロデューサーとして健康を育む、安心で安全な美味…
閖上生しらすセット
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閖上の味を仙台で。「ゆりあげたこやき」

佐藤さんが子どもの頃、閖上で親しまれていたたこ焼きには、ちょっと特別な楽しみがありました。

店を切り盛りしていたおばあちゃんが、調子の良い日にだけ店を開けていたため、食べられたらラッキー。

「今日やってたよーって聞いたら、みんな買いに行くんだよ。10本とか20本とか、普通に買ってたね」

たくさん買って、おやつやおかずにしたり、近所におすそ分けしたり。

自分で店を始めてから初めて、「たこ焼きって10本、20本って買うものじゃないんだ」と気づいたと佐藤さんは笑います。

冬には、買ってきたたこ焼きをこたつの中で保温していたそう。

「学校から帰ってくると、家じゅうがソースのいい匂いなんだよ。『今日たこ焼きあるの!?』って、すぐ分かったね」

そんな記憶に残る味を再現するきっかけになったのが、2012年8月に閖上さいかい市場で行われた「なとり復興プロジェクト」でした。

地域の人たちの記憶を頼りに「閖上のたこ焼き」を再現する企画に佐藤さんも参加しましたが、限られた時間では思い描く味までたどり着けず、悔しさが残ったといいます。

その後、「自分で店をやろう」と一念発起。もともとのレシピが残っていないため、頼りにしたのは子どもの頃に食べた味の記憶でした。

「これくらいだったかな、っていう記憶だけで作っていったんだよ」


特に苦労したのがソースです。市販の材料で試作を重ねたものの、店で使う業務用の材料に置き換えると味が変わり、再び調整することに。

ソースに合わせてたこ焼きも何度も焼き、生地も冷めても硬くなりにくい配合を探しながら、「これならお客さんに出せる」と思える味になるまで1年以上かけました。

連坊で店を開いてからも、閖上で親しんだ濃いめの味をベースに、今のお客さんにも食べやすい味へと調整を続けています。


そんな中でも、ひとつだけ変えないと決めていることがあります。

「串に3つ刺してあること。そこだけは絶対に変えたくないんだよ」

3つのたこ焼きを串に刺し、ソースに“どぶづけ”する。その姿は、佐藤さんの記憶に残る、おばあちゃんのたこ焼きそのものです。

  • ゆりあげたこやき 1本190円(写真は2本)※イベント出店時などは価格が異なる場合があります。

味は今いる場所に合わせながらも、この形だけはこれからも守り続けたいと話します。

また、閖上で漁をしている知り合いから、たこが獲れた時に店へ届けてもらうことも。

普段は別のたこを使っていますが、タイミングが合えば閖上で獲れたたこが使われることもあります。

閖上で獲れたたこを使った、いつ出会えるか分からない“幻のゆりあげたこやき”です。

おわりに

佐藤さんの話を聞いてみると、笹かまには子どもの頃からの記憶があり、しらすは震災後に閖上に加わった新しい海の幸でした。

「笹かまはそのまま」「生しらすはしょうが醤油で」「釜揚げしらすは大根おろしとポン酢で」。


佐藤さんの食べ方は、どれも素材そのもののおいしさを楽しむシンプルなものです。海の幸が身近にある閖上だからこそ、こうした食べ方が自然に暮らしの中にあるのかもしれません。

豊かな海の幸を、日々の食卓で気軽に味わえること。それも、閖上、そして宮城の食の魅力のひとつです。

まずは気になった食べ方から、自分の食卓でも楽しんでみてはいかがでしょうか。

お話を伺ったゆりあげたこやき りり~あっぷ

  • ゆりあげたこやき りり~あっぷ

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ライター:三品 政人【食材王国みやぎ うまレポ隊】

宮城県を拠点に、イベント企画や地域活動に携わっています。

地域で頑張る人や、地元ならではの魅力を見つけることが好きで、

食やまちに関する取材にも挑戦中。

美味しいものを食べることと、人の話を聞くことが大好きです。

ライター:三品 政人【食材王国みやぎ うまレポ隊】

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