2022.08.31

宮城の風土が生んだ、甘く香りの良い伝統野菜「曲がりねぎ」

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曲がるように植え替える、先人の知恵が育んだねぎ

大きく曲がった姿をしている曲がりねぎは、仙台市岩切の余目地区で栽培が始まったとされています。香りが良く、加熱すると増す甘みとコクが印象的な味わいです。

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受け継がれてきた伝統的な栽培法

曲がりねぎは、明治時代から大正にかけて生まれました。発祥の地と言われる宮城野区岩切の余目地区の土壌は水はけが悪く、野菜が根腐れしやすい環境だったことから、生育途中のねぎを一度抜き、傾斜をつけて植え替える「やとい」という方法がとられるようになりました。これにより、ねぎの根が深く伸びすぎないため、根腐れを防ぐことができ、太陽に向かって起き上がるように曲がったねぎとなります。

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伝統を守るためにも、手間をかけて育てる

曲がりねぎの栽培は、育っている途中でいったん抜いて植え直さなくてはならないため、一般的なねぎよりも工程が多く、手間がかかります。また、すべて手作業で行われるので、労力もひとしおです。しかし、曲がりねぎの特徴である甘みや柔らかさは、この栽培方法でないと出せず、地元の生産者は手間を惜しまず伝統を守り続けています。次世代にもこの知恵を受け継いでいくため、地域の小学校では食育の一環として曲がりねぎの栽培について学んでいます。

白い部分と青い部分、それぞれ味の違いが楽しめる

甘みがあって柔らかな軟白部分のおいしさはもちろん、実は青い部分も香りがよく、おいしくいただけます。    
焼いて食べるとさらにねぎ独特の香りが増し、とろけるほどの食感に。
鍋に入れてもよし、おひたしなどにも向いています。一度抜かれストレスフルになっても立ち上がる生命力の強さが、甘みを引き出しているといわれています。一度食べたら他のねぎには戻れないと言わせるほどのおいしさです。