知られざる海のごちそう!気仙沼発・メカジキの魅力と美味しい食べ方ガイド
刺身で食べても、煮付けやソテーにしても美味しい万能な魚・メカジキ。全国トップの漁獲量を誇る宮城県気仙沼市では“メカ”の愛称で親しまれています。気仙沼で漁師の孫として生まれた筆者にとっても、メカジキのある食卓は日常の風景でした。
ところが、気仙沼市外、そして、宮城県外では「食べたことがない」という声も少なくありません。そこで本記事では、メカジキの美味しさをもっと知ってもらうために、漁師おすすめの食べ方やレシピ、地元で味わえる絶品料理から、お取り寄せの逸品までご紹介。知られざるメカジキの世界へとご案内します。
目次

メカジキってどんな魚?特徴・漁法・味の魅力を解説
まずは、メカジキについて知るところからスタート!お話を聞かせてくれたのは、気仙沼市唐桑町で50年以上にわたって漁師として活躍する佐々木利一(りいち)さんです。
佐々木さんのご自宅にお邪魔すると、壁には巨大な魚の写真が。実は、メカジキは成長すると体長4〜5mにもなる大型魚なんです。佐々木さんが獲った最大のメカジキは、なんと400kg超えだったという話には驚かされました。
メカジキの漁獲方法には、長さ100km以上にもなる幹縄(みきなわ)に、エサと釣り針をつけた枝縄(えだなわ)をつけて魚を釣る「はえ縄漁」、潮流と直角になるように網を投入し、網に挟まった魚を獲る「大目流し網漁」、泳ぐ魚をモリで一突きにする「突きん棒漁」などがあります。
なかでも、「突きん棒漁」はメカジキと人間が挑み合う、緊張感あふれる漁です。通常は、見張り台で舵を取る人と、船首でモリを構える人の二人体制で行いますが、佐々木さんはすべてを一人でこなすのだとか。漁師が命をかけて獲る“海のハンター”。それがメカジキなのです。
豆知識:「カジキマグロ」と「メカジキ」は違う?
メカジキが属するカジキ類は、スーパーや飲食店などで「カジキマグロ」と表記されることもあります。ところが、マグロはサバ科、メカジキはメカジキ科と、全く別の種。マグロのように大型で、刺身などに適していることからこのように呼ばれるようになったといわれていますが、分類学上、「カジキマグロ」という魚は存在しません。
漁師直伝!メカジキの美味しい食べ方と定番レシピ
長年にわたりメカジキと向き合ってきた佐々木さんに、オススメの食べ方を聞いてみました。「初めてメカジキを食べるなら、やっぱり煮付けが一番だね」とのこと。淡白でふっくらとした身に甘辛い味が染み込んだ煮付けは、地元でも定番です。
煮付けの作り方を尋ねると、「いつも“勘”でやってるから、分量はわからないよ」と、豪快に笑う佐々木さん。そこで今回は、筆者の母──つまり、漁師の娘が長年作り続けてきた「メカジキのハーモニカ煮」のレシピをご紹介します。ちなみに、“ハーモニカ”とは、背びれの付け根の部位のこと。気仙沼のメカジキ料理でよく使われる部位の一つです。
レシピ:メカジキのハーモニカ煮
【材料(2人分)】
・メカジキのハーモニカ……1ブロック(約700g)※冷凍でも可
・酒……………………………200cc
・みりん………………………100cc
・醤油…………………………100cc
・砂糖…………………………大さじ2
・おろししょうが……………小さじ1
【作り方】
(1)鍋にメカジキ以外の材料を全て入れ、ひと煮立ちさせる
(2)一度火を止め、メカジキを入れる
(3)落とし蓋をして、中火で10分ほど煮る
【Point】
▼冷凍のメカジキを用いる場合は、調理前に冷蔵室で約8時間かけて解凍します。
▼大きい鍋がない場合は、深型のフライパンでも作れます。その場合、最初の5分は煮汁をかけながら煮込み、裏返してから落とし蓋をしてさらに5分煮込んでください。
▼火を止めてからしばらく置いておくと、味がしみて美味しくなります。

「煮付けを食べて美味しいと思ったら、刺身でも食べてほしい」と佐々木さんは続けます。「マグロとは違う白い身に驚くかもしれないけど、メカジキのトロの刺身は最高だよ」と教えてくれました。
メカジキは一年を通して流通していますが、特に10月〜3月頃の“冬メカ”は、脂がたっぷりとのり、より濃厚な旨みと甘さを堪能できます。本マグロにも匹敵するといわれるその格別な美味しさを、ぜひ現地で味わってみてください。
気仙沼でメカジキ料理を味わえる人気店
メカジキの産地・気仙沼には、メカジキ料理を提供する飲食店がたくさん!今回訪れたのは、気仙沼魚市場のほど近く、みしおね横丁にある「鶴亀食堂」です。
注文したのは、メカジキのカマ煮(頭と胴体の付け根部分)とカツオの刺身の二つを楽しめる「よくばりセット」。鶴亀食堂不動の人気No.1のメニューとのことです。
柔らかく煮込まれたメカジキは、ふわふわを超えて“ほわっほわ”な食感!濃いめの味付けに、ご飯もどんどん進みます。
鶴亀食堂では、メカジキの「ハーモニカ定食」と「カマ煮定食」も提供しているので、メカジキを存分に味わいたいならこちらをどうぞ。もちろん、カツオやサンマなど、気仙沼の海の幸を存分に楽しめるメニューも豊富。何度も訪れたくなること間違いなしのお店です。
店舗情報:鶴亀食堂
所在地:宮城県気仙沼市魚市場前4-5 みしおね横丁
TEL:0226-25-8834
営業時間:7:00~13:00
定休日:なし ※臨時休業の場合あり。来店の際はSNSや電話で確認を。
「食材王国みやぎ 地産地消推進店」でもメカジキを食べよう!
「食材王国みやぎ 地産地消推進店」は、宮城県産食材を積極的に活用する飲食店や宿泊施設として、宮城県が登録しているもの。地産地消推進店でメカジキを楽しむなら、「港町レストラン鮮(せん)」がオススメです。
地元の水産会社直営の同店が提供するのは、“鮮度の良さ”にとことんこだわった料理。定番メニューの「メカジキのハーモニカ煮」をはじめ、季節限定の刺身やフェアメニューでもメカジキを楽しめますよ。

お取り寄せOK!自宅で楽しむメカジキの絶品グルメ
なかなか気仙沼まで足を運ぶのは難しいけど、メカジキを食べてみたい!という方もご安心ください。宮城には、お取り寄せでメカジキの美味しさを味わえる逸品もあるんです。
一つ目は「宮城のあぶり三昧7種セット」。メカジキをはじめ、サーモン、ビンチョウマグロ、キハダマグロ、一本釣りカツオ、天然ブリ、サワラと、三陸の海の恵みを一挙に楽しめる贅沢なセットです。気仙沼市のふるさと納税の返礼品にもなっていますよ。
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二つ目は「伊達の燻製セット」。メカジキ、銀鮭、ホタテをハーブと桜チップの香りで一つひとつ丁寧に燻しています。内容量が異なる仙萩ミニセット、響セット、彩セットの3種類があるので、贈り物にも重宝します。
【まとめ】気仙沼で、メカジキの本当の美味しさに出会おう
本記事では、メカジキのレシピや飲食店・商品まで、食べ方ガイドをお送りしました。筆者が大好きなメカジキの魅力、少しでも伝わっていたら嬉しいです。メカジキをはじめ、海の幸や見どころが盛りだくさんの気仙沼へ、ぜひ足を運んでみてくださいね。
ライター:池田 智海【食材王国みやぎ うまレポ隊】
宮城で暮らして30年超のライター。地域をよく知るライターとして、仙台発の情報誌「りらく」などの記事を執筆。個人の活動として、宮城のお店や人の魅力を発信する情報サイト「より、宮城。(https://yori-miyagi.com/)」の運営も手がけています。「人と話すこと」と「美味しいものを食べること」が大好きです!























