宮城旬鮮探訪

温麺とは、麺の長さが短いことがわかりやすい特徴で、そうめんに比べてすこし太いので食べ応えもある宮城県白石市の特産品です。また、製造に油を使わずに、小麦粉と塩と水だけで作られているため消化に良いことも特徴です。もともとは「温麺（うーめん）」と呼ばれていましたが、白石地域で生まれ、今でも製造されていることから、「白石温麺」と地域の名産品として親しまれています。

その歴史は古く、400年ほど前までさかのぼります。一説には、白石の城下町で鈴木浅右衛門（のちの味右衛門）という青年が、胃腸を患っていた父に食べさせる食事を探していたところ、旅の僧から製法を授かり、それを食べて父は元気になっていったそう。これが評判をよび、片倉小十郎が「人を思いやる温かい心の麺」という意味で「温麺」と名付けたと言われています。

【「うどん」や「ひやむぎ」等との違い】

「うどん」や「ひやむぎ」、「そうめん」など乾燥した麺は複数ありますが、それぞれの定義はどのように決まるのでしょうか？実は乾めん類品質表示基準によって、太さごとに定義づけされているのです。

「うどん」は太さが1.7mm以上のもの。「ひやむぎ」は太さが1.3mm以上、1.7mm未満のもの。「そうめん」は太さが1.3mm未満のものとされています。温麺は麺の太さで明確に定義されていませんが、「ひやむぎ」や「そうめん」の太さに近い乾麺です。

【「そうめん」との違い】

そうめんは1200年以上前に奈良県で発祥したといわれ、「夏のごはん」やお中元の麺として全国でおなじみ。温麺はそうめんの一種と言われることも多いですが、一般的なそうめんと温麺のわかりやすい違いは長さで、そうめんは20cm程度が一般的ですが、温麺はその約半分の9cm程度。実は日本一短い麺と言われており、トランプの長辺と同じぐらいの長さしかありません。また、そうめんの太さは1mm以下のものも多いですが、温麺はそうめんよりも太い傾向があり、製造に油を使用していないことも特徴です。

温麺もそうめんと同様に、温かくしても、冷たくしても美味しく食べられます。麵が短いので小さめの鍋でも茹でやすいのも嬉しいポイント。

夏は冷たいもので弱りがちなおなかにやさしく、そうめんの代わりに。冬はあたたかく、風邪気味の時でも消化に良く温まるにゅうめんで楽しめます。特別な調理は不要なので、そうめんやうどん等と同じように、気軽に試すことができます。

短くて太いため比較的折れにくく、持ち運びやすいのでアウトドアや災害備蓄、仕送りにもおすすめです。

一般的なそうめんよりも少し太くて短い温麺は、家族を思うあたたかな気持ちから生まれた麺。消化にいいので食欲がなくなりやすい夏も、風邪を引きやすい冬も、1年を通じておすすめです。

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