宮城旬鮮探訪

寒さに強く東北各地で栽培されているせり。中でも宮城は全国1位の生産量を誇っています。宮城のせり栽培は歴史が古く、なんと江戸時代初期からせりの栽培が始まったそう。仙台藩主・伊達政宗公が、連歌の席でせりの句を詠んだという文献も残っています。宮城で収穫されるせりは「仙台せり」や「河北せり」というブランド名で出荷されていますが、大きな河川があり豊富な地下水が湧き出る名取市上余田や下余田地区、石巻市河北地区、大崎市松山などで盛んに生産が行われています。

「せり鍋」の一番の特徴は、根っこ、茎、葉とせりを余すことなく丸ごと食べるところです。宮城では一年の大半にわたって生産されるせりですが、9～3月出荷の「根せり(冬せり)」と4～6月出荷の「葉せり(春せり)」に分類されます。せり鍋は「根せり(冬せり)」を使うため9～3月がシーズン。寒さに耐えたせりは、ほろ苦さはありつつも甘みがぐっと増しているんです！根っこから葉まで、部位ごとにそれぞれ違った食感や味を堪能できますよ。

県内にはせり鍋を楽しめる飲食店がたくさんあります！大勢で鍋を囲めるお店、一人でも気軽に入れる居酒屋、ランチをやっているお店などライターおすすめの名店をご紹介します。宮城を訪れた際の参考にしてみてくださいね！

仙台駅西口からすぐ！豊富なせり料理を楽しむことができる店です。大正ロマン溢れる店内は、ステンドグラスや骨董品が並びノスタルジックな雰囲気。全室個室でゆっくり過ごすことができます。

ご当地グルメを網羅できる豊富なメニュー！

名物のせり鍋以外にも、せりを使った料理がたくさん！はらこ飯や牛タン、金華さば、牡蠣など宮城を代表するグルメがそろっていてどれも食べたくなってしまいました。地酒や東北各地の銘酒も取り揃えていますよ。

お店の代表メニュー！合鴨の仙台せり鍋を実食！

運ばれてきたせりの迫力に驚きを隠せません！土鍋の中には新鮮な野菜と仙台の特産品である油麩が。合鴨は鮮やかな色をしています。

太くて立派な根元。天に向かってそびえ立っているかのようです！

鍋が沸騰したら2分で野菜が食べごろに。熱々の出汁が香り立ち食欲がそそられます…！せりは根せりは30秒、茎と葉は10秒ほどしゃぶしゃぶ。

根せりはシャキシャキの歯ごたえが最高！せり独特の爽やかな香りとほろ苦さがたまりません。葉は柔らかく食感の違いを楽しみながら味わいます。

合鴨は脂がのっていて噛むたびに旨味が口の中に広がります。焼きあご、鰹、昆布の出汁に合鴨の旨味も溶け込んだスープはごくごくと飲んでしまうおいしさです。スープを吸った油麩もおいしい。

〆はそばに！鍋の〆でそばは珍しいかもしれませんが、合鴨とせりの旨味が溶け出したスープにはそばがよく合うのです…！最初から最後までおいしいせり鍋に感動しっぱなしでした。

青葉区大町の路地裏にひっそりと佇む和食居酒屋。北海道出身の親方が「北海道」と「東北」の良いものを織り交ぜて提供されています。お料理はどれも食材選びから調理、盛り付けまで丁寧に作られたというのが感じられる絶品ばかり。落ち着いた雰囲気の店内でゆっくりと食事とお酒を堪能することができます。

何を食べても間違いなし！旬の食材を活かした絶品料理は感動もの！

新鮮な三陸の海鮮、仙台牛や蔵王豚、自家農園で作られた野菜など地場の食材を使ったメニューが並びます。盛り付けも美しく目でも楽しめる料理たちは、一口食べるたびにおいしさに感激するほど！お腹も心も満たされました。

せり、鴨、スープ、全てにこだわった絶品のせり鍋！

名取市下余田の三浦農園さんの新鮮なせり、甘みとコクがある「野田鴨」、自家製軟骨つくね。真っ白で美しい根っこが目を引きます。野田鴨はつやがあり上質さが伝わってきます！

黄金色に輝く美しい出汁。北海道の南茅部（みなみかやべ）の真昆布、マグロ節を使っているそう。

まずは野田鴨の脂身を入れ、甘くおいしい脂を引き出します。

次に軟骨つくねとせりの根っこを投入。軟骨つくねはとても大きくて食べ応え抜群！

野田鴨は両面の色が変わるくらいしゃぶしゃぶ。臭みが全くなく、柔らかで弾力のある肉質。噛めば噛むほどコクと甘みが！家族で野田鴨争奪戦が繰り広げられました。(笑)

茎と葉はさっと火を通す程度でいただきます。野田鴨の脂をまとったせりは、一口食べた瞬間「ん～！おいしい！」と思わず声が出ました。シャキシャキの食感がたまりません！葉と茎はせり特有のほろ苦さがあり、根っこは噛むと甘みも感じられて、違いを楽しみながら食べ進めました！

〆はうどん。卵付きです。

つるつると喉ごし滑らかなうどんは、せりと野田鴨の旨味が溶け出したつゆと相まって極上のおいしさ…！おかわりしてしまいました。

全ての素材にこだわったせり鍋は、最後の一口まで大事に味わって食べたい、そんなせり鍋。心の底からおいしかった…！！

地下鉄南北線長町駅から徒歩すぐ。名取市閖上（ゆりあげ）のおいしいグルメを心行くまで堪能できます。こちらのあすと長町店の他、かわまちてらす閖上（名取市）、ゆりあげ港朝市（名取市）など県内には系列店が5店舗。いずれも平日でも行列ができるほどの人気店なんです！

宮城・閖上の旬を思う存分堪能できる！

通年の食材に加えて、北寄貝やサーモン、しらす、はらこ飯、そしてせり鍋と季節ごとの地元グルメを楽しめます。新鮮な海の幸を使ったメニューが豊富です。お子様からご高齢の方まで、誰もが大満足すること間違いなしです。

ここでしか食べられない！釜揚げしらすのせり鍋をいただきます！

釜揚げしらすのせり鍋 小鍋。小鍋！？と驚くくらいのせりの量！お鍋には白菜、ねぎ、豆腐が入っています。

しらすは100gとたっぷり！見るからにふわふわのしらすです。閖上のしらすは本当においしいんですよ。

まずは野菜を煮ます。沸騰してくるとつゆの良い香りが漂ってきます。

根は30秒ほど煮ます。葉は時間差で入れてしゃぶしゃぶする程度でOK。しらすはお好きなタイミングで入れてよいとのこと。葉と一緒に入れてみました。

名取市の生産者様から直接仕入れているというせりはシャキシャキの食感でせりの香りが濃縮しています！柔らかな葉はしらすとの相性が抜群です。醤油ベースの優しいつゆにせりとしらすの旨味が溶け出しています。ほのかに磯の香りが感じられとってもおいしい！

〆の雑炊を注文。生卵とねぎが付いてきます。ごはんは洗われているので最後までさらっと食べることができます。ちょっとしたひと手間がうれしいです。

しらすと共に煮込む雑炊。おいしいに決まっています！

トッピング用にしらすを残しておきました。せり鍋でお腹いっぱいだったはずなのに…。あまりのおいしさにあっという間に完食してしまいました。

漁亭 浜やの味をお家で味わえます。

こだわりの自家製だし、日高昆布入りだしパック、仙台せり、宮城県産森林どりまたは宮城県産野田鴨、おいしい作り方レシピのセットです。

おいしいせり鍋をお家でも味わいませんか？宮城生まれ、宮城育ちのライターが毎年作っているせり鍋レシピをご紹介します。他の野菜を入れてもよし！つゆに豆乳やレモンを入れたり、味噌ベースのつゆにしてもよし！お好きなアレンジでせり鍋を楽しみましょう。

【材料　4人分】

・せり…2束

・ねぎ…1本

・舞茸…1パック

・えのき…1袋

・ごぼう…1本

・白菜…1/4個

・豆腐…1丁

・鶏もも肉…1枚

・仙台麩…1本

・結び白滝…6個

◎だし汁…800㎖

◎醤油…大さじ3

◎みりん…大さじ3

◎酒…大さじ3

◎鶏ガラスープの素…大さじ1

【作り方】

①ごぼうはささがきにして水につけてあく抜きする。

②せりは根をよく洗い7㎝の長さに切る。その他の具材も食べやすい大きさに切る。

③鍋に◎を入れ煮立て、鶏肉とごぼうを加え火が通るまで煮る。

④白菜、仙台麩、豆腐、ねぎ、結び白滝、舞茸を加え2分程度煮る。

⑤せりの根、葉の順で入れさっと火を通して食べる。

⑥雑炊、うどん、そばなどお好きな〆を。

★おいしく食べるポイント

・せりの根に付いた土はたわしや歯ブラシでしっかりと洗いましょう。

・せりは煮過ぎると風味を損なうため、加熱時間は根っこは30秒、茎と葉はさっと火を通す程度にしましょう。

宮城の冬の風物詩「せり鍋」特集はいかがでしたか？日に日に寒さが増し、温かい鍋料理が恋しくなるこの季節。おいしいせり鍋を食べれば心も体もぽかぽかすること間違いなしです！宮城ではせり鍋を楽しめる飲食店がたくさんあります。ぜひお気に入りの店を見つけてみてくださいね。そしてお家でもせり鍋をみんなで囲んで、寒い冬を温かく過ごしましょう！